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2017年1月10日
暗香来
新しい年の迎えられたことを喜び、 かすかな芳香を小屋によせて、春さうさうのお茶を。 − 雨のひそやかに降る日 薄明かりにそっと放つ蕾 その上品に匂いふきそめ 胸を撫でるようにして沁みわたる甘さ 唇は潤いを口ずさみ 暮色に映ずる奔放でとらわれのない気...
2016年12月31日
on reading'四季の呼吸
冬ざれた静かに 移ろう四季をふり返り 風景へ記されたお茶と その名残りを読む時間 ふいに消えた匂い 未知なるままの味 薄れていく名残り 少しづつを失くしていく中で 残されたものが拙いままに働く 何もない体は不思議に落ちついて ひと杯は温もりにずっと満ちていた。 −...
2016年11月29日
on reading'くれないの呼吸
トキのうつりかわり、 はらはらと舞い降りた木の葉をかざり、 いつもより少し華やいだテーブルの上で 林檎をほんのり温めた ’紅の湯を。 口に含むと 誰もが目を閉じて 優しげに蜜色の息を吐きながら、 これからの時間へと 静かに心を目覚めさせていく。 11月の読む時間、 冬の朝...
2016年11月1日
on reading'かれの呼吸
秋風に触れ、草木は黄ばみ枯れてゆく。 その儚さに触れ、小さなため息をつく。 いつの間にか黄昏ていく空の その景色を読むような10月の'on reading。 思いがけずに散らばったものを どうしてまた集めればいいのか。 ずっと考えていた。 自由でいて正しい秩序のあることを。...
2016年10月12日
宁静
水の音 匂う風 満つる気配 そっと目を閉じ 心を無にして その内にあるものを開き お茶の目覚める瞬間を待つ 「死に逝くものの記憶を体へ受けとり 人の記憶は作られていく。」 そう茶小屋で ある若い人が話してくれた。 手の杯に映る記憶を匂い 味わいゆく その向こうの世界...
2016年10月4日
on reading'つきの呼吸
草の花がゆれて 虫の声が高くなる頃 慎ましく居 ただ風にそよぎながら ふと見下ろした手もとに 照る月のなみ音を聴き その名残りを読む on reading かつて 平安の頃 月は見上げるものではなく 見下ろすものだった と云う。 おおらかな水面に舟を浮かべ...
2016年9月1日
すずしげの滴
激しくふる雨と 虫の声が交錯する 終わりゆく夏の日 すずしげの滴にみゆ 秋のおとずれ 小屋に於て、涼月の茶会を開きました。 「茶菓譜」 一、◇ 雲霧滴匂う涼の茶 ◇ 薄衣氷菓と青葉 二、◇ 茶梅と薬草汽水茶 三、◇ 氷糖片と烏龍氷片の滴待茶 ◇ 茶冰と無花果碗 四、◇...
2016年7月30日
on reading'しろの呼吸
白とは ひかりのようで闇のようでもある。 そこには新しく生まれるゆとりがあり 何もかもが消えたあとに残る韻きもある。 何もないような空白に呼吸をきいて ゆらゆらとして それが何処へつながっているのか 予測もつかないけれど 少し また少しと近づいていく。 −...
2016年7月4日
on reading'はなの呼吸
晴れたり曇ったりの空の下 ふいに吹き撫でてゆく風の音 雨の粒 影にみつめた 紫の花 耳をすませて 匂いをかいで 目をとじて いつものやり方で ささやかな合図をこころに送る。 触れるもの全ての その生きている表情を確かめながら はじまりは淡く 柔らかく匂う杯 それからは深く...
2016年6月1日
on reading'ひかりの呼吸
空に描かれた眩しいほどのひかり 山へ降るようにして地と戯れるひかり それら光のもとに 碧緑のちいさな茶葉が おぼろげに匂った記憶を追いかける 5月の読む時間。 − ふわふわと 淡いけれどずっと深く おさなくて柔らかな ひかりの余韻 ふっと 消えてしまいそうなほどの...
2016年5月26日
円満茶事
手のひらにおさまるほどの 小さな杯へ映す倖せ。 日々描き続けるその景色が 喜びにあふれ円満であるように。 時を忘れて 自然に寄り添いながら 少しずつ自由になっていく。 言葉はなくても目と目が合うだけで 心へ触れたように笑顔を交わす。 今 目の前にいる人と...
2016年5月22日
風の匂い
ガーゼにゆれる 甘くていい匂ひ 心にふれて くすぐったい匂 染みついた しょっぱすっぱい匂い 雨あがり 涙のでる匂ひ 風ほど 匂いの好きなものは あるまい
2016年5月8日
新茶上市
日に戯れるそのどれもが はらはらと淡く映る 浅春、ひとときの景色から。 ふっくらと、 おぼろげに包まれた 白いうぶとちいさな葉。 お湯に落ちて 跳ね上がり ゆるく薄色にほどけた その茶湯は、 まるで春の湖のよう。 そのきらきらと涼やかな滴、 風に匂うような微かな香り。...
2016年5月1日
草木葉 さざめき
「 蓬まんじゅう 」 風に匂う土と 勢い生える青草の味 爽やかな饅頭です。 新茶上市の淡く爽やかでほの甘い緑茶と合うよう 味わいの濃さはいつもどおりに控えています。 どうぞお楽しみいただけますように。 拝
2016年4月29日
on reading'あめの呼吸
on reading 四月 'あめの呼吸 終了いたしました。 森の奥深くに息づく土の潤い、靄のなかへ沈むような茶の気、どこか雫の匂いのするお茶、やわらかな春の雨ふる一日に、花散る音を聴きながら過ごす お茶を読む時間。 陽気のなかゆわゆわと、手に取ればしっとりと、雨に溶けた花...
2016年4月1日
on reading'むしの呼吸
on reading 三月 'むしの呼吸 終了いたしました。 蠢く地中に眠りから目醒めた小さなものたちが脈をうつころ 言葉を持たないものの声に 心をすませながら命の記憶に満ちる杯を重ねていく ゆっくりとお茶を読む時間。 毎月 呼吸のタイトルに添いながらon...
2016年3月11日
さくら さく
花咲くころの恒例となり、 いつもお喜びいただける李舟レシピのさくら饅頭、 蒸し立てのご用意、小屋に整いました。 どうぞお愉しみいただけますように。 李舟 拝
2016年3月8日
灯火色
ゆっくりとほどける茶葉の はかなく揺らぐ灯火色の茶水。 口にやわらかく 頬をあたためて 咽喉をうるおし過ぎていく。 かすかな光の中へ 手にした杯にふわと浮かぶ果と蜜の匂い 物思いにふける他に何もないところへ ぼんやりと火の香りが印される。...
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